東京都立科学技術高等学校
「配るだけ」では定着しない。フォーサイトを“自己管理力を育てるツール”として運用する、都立科学技術高等学校の実践
フォーサイトを導入しても、
「最初だけ書いて終わってしまう」
「結局、配るだけになっている」
という悩みを抱える学校は少なくありません。
今回お話を伺ったのは、
1学年(インタビュー当時)でフォーサイト活用に取り組む
都立科学技術高等学校の計良 衛先生です。
本事例では、
・ 提出期限を“その場で書かせる”工夫
・ 毎日フォーサイトを開く環境づくり
・ HRでの確認
・ 生徒主体で締切を確認する仕組み
など、試行錯誤をしながらも実際に行っている取り組みについて詳しく伺いました。
「フォーサイトをどう定着させればいいのか」
「どんな運用をすれば、生徒の自己管理につながるのか」
と悩む先生方にとって、日々の実践を考えるヒントになれば幸いです。
「しっかり運用すれば、生徒の力につながるのではないか」
今回、1学年でフォーサイトを活用している背景には、学年主任の先生のご経験があります。
前任校で手帳を活用している教員の実践を見ていたことに加え、昨年度、担任していた3年生クラスで、
個人的に手帳を活用している生徒の様子を見てきたことが挙げられます。
その生徒は、実験計画・受験予定・学習管理などを非常に丁寧に記録し、主体的に活用していたといいます。
かなり使いこなしている様子を見て、
「しっかり運用すれば、生徒の力につながるのではないか」
と感じ、本年度の導入につながりました。
「自分で整理しないと、結局わからなくなってしまう」
導入にあたって、1学年の担任団では目的を共有しました。1学年ではまず、
・ 提出物を期限までに出すこと
・ 学校行事を主体的に把握すること
を目的にしていました。特に重視していたのは、「提出期限を書くこと」です。
学校では、
・ Teams
・ 紙配布
・ 口頭連絡
・ 各種配信
など、情報がさまざまな場所に存在しています。そのため、
「自分で整理しないと、結局わからなくなってしまうんですよね」
と先生は話します。だからこそ、フォーサイトを通して、
・ 締切を意識する
・ 見通しを持つ
・ 自分で管理する
という習慣を身につけてほしいと考えているそうです。

「あとで書く」ではなく、「その場で書く」を徹底
年度当初の手帳指導は、1学年担任の共通取組として、以下の点を定めました。
・ 各教科で提出物がある際には、その場で生徒にフォーサイトへ提出期限を書き込ませる
・ 時間割をフォーサイトの表紙に、年間行事予定を裏表紙に貼付する
・ 定期考査終了後には、次回考査までの学校行事予定を手帳に書き込ませる
・ 提出が滞りがちな生徒には、担任が声をかけ、一緒にフォーサイトへ提出期限を記入する
特に重視していたのが、「提出期限をその場で書かせること」でした。
「あとで書こう、は基本的に書くことを忘れてしまう」
という考えから、“提示されたその瞬間に書く”ことを徹底していました。また、
「フォーサイトが、毎日の学校生活の“土台”になる状態を作りたかった」
という思いから、
・ 時間割を表紙に貼る
・ 年間予定を裏表紙に貼る
・ 定期考査後に次回考査までの予定を書き込ませる
など、自然と毎日フォーサイトを開く環境づくりも意識していました。
なお、日常的な声かけの方法については、各担任の裁量に任せてスタートしたそうです。
クラスごとに工夫しながら運用
各クラスでも、それぞれ工夫した取り組みを行っていました。
あるクラスでは、毎週金曜日の帰りのホームルームで全員にフォーサイトを机上に出してもらい、
記入内容をみんなで確認しています。その際、担任は机間巡回を行い、手帳の記入状況や活用度を個別に確認していました。
また、ほかのあるクラスでは、帰りのホームルーム時にHR委員が前に立ち、
フォーサイトを持って翌日の提出物を全体で確認する活動を行っています。
教員主体だけではなく、生徒主体で確認する流れも作っていました。
さらに、学年全体では、
・ Myフォーサイトコンテストへの参加
・ 学年だよりで模範的な内容を紹介
・ 活用状況の共有
などを行い、活用意欲の向上にも取り組んでいます。保護者会でもフォーサイトの活用について説明し、
家庭とも連携しながら活用を促進していました。
また、手帳を持ち歩いている生徒を見かけた際には積極的に声をかけ、
努力を認めるようにすることも意識的に実施していたそうです。
「みんな口々に締切を挙げてくれて、楽しいです」
学年主任の先生は、実際の運用について、こんなエピソードも話してくださいました。
「HRで毎週金曜にフォーサイトの確認をしています。みんな口々に締切を挙げてくれて、楽しいです」
また、提出物や宿題を忘れがちな生徒には、三者面談で、「生活と紐づけよう」と話し、
・ 「お母さんにお弁当箱を出す時に手帳も開く」
・ 「夕飯の『ごちそうさま』の直後に開く」
など、生徒の生活習慣と結びつけながら、一緒に習慣化の方法を考えているそうです。
先生は「特別なことはしていないんですけどね」と笑いながら話していましたが、
そうした日々の声かけや関わりそのものが、フォーサイト活用を支えていることが伝わってきました。
少しずつ見え始めた、生徒の変化
フォーサイトを使い始めたばかりのころは、手帳を活用する習慣もこれからという段階でした。
どのタイミングで予定を書き込むか、どこまで記録すればよいか、
生徒それぞれが手探りで進めている様子だったといいます。
しかし、活用を続けていく中で、少しずつ変化も見られるようになりました。
表紙に貼った時間割をこまめに確認することで、次の授業の準備を事前に整える生徒が増え、
忘れ物が減ってきたと感じているようです。
また、見開きページに貼られた年間行事予定を眺める習慣がついたことで、
自分の生活リズムを俯瞰し、行事に向けた準備や心構えが自然とできるようになってきたそうです。
さらに、学年通信で手帳活用の様子が紹介されたことで、活用への意識が高まり、
・ 手帳にメモを書き込む生徒
・ 提出物の管理を自主的に行う生徒
もみられるようになってきたとお話しいただきました。

一方で、課題もある
これからの課題についても、率直にお話しいただきました。
現状(インタビュー当時)、フォーサイトの活用率は約40%。
提出習慣の定着については、これからさらに育てていきたい段階だといいます。
また、
・継続的な働きかけの工夫
・手帳/スマホ/アプリなど活用スタイルの多様化への対応
など、運用を進めるなかで見えてきた課題にも、前向きに向き合っているそうです。
生徒の自主性を大切にしながら、どのように「定着」へとつなげていくか
——そのバランスを模索することも、これからの手ごたえのある取り組みだと感じているようです。
そうしたなかでも先生が大切にしているのが、次の考え方です。
「大事なのは紙かデジタルかではなく、自分で管理できているか」
管理方法そのものを限定するのではなく、生徒一人ひとりが自分で見通しを持ち、
主体的に行動できる状態を目指しているといいます。
「これからも工夫できることがたくさんあるので、引き続き前向きに運用を重ねていきたいです」という言葉からも、
生徒の成長を見据えた確かな意欲が伝わってきました。
「導入」ではなく、「運用」が重要
今回のお話を通して感じたのは、フォーサイトは“導入しただけ”では定着しないということです。
だからこそ、
・ 何を目的に使うのか
・ どんな力を育てたいのか
・ どのように習慣化するのか
を教員間で共有しながら、継続的に働きかけていくことが重要なのだと感じました。
都立科学技術高等学校でも、決して最初からうまくいっていたわけではありません。
活用率40%という現実や、提出習慣改善への難しさなど、課題もありながら、少しずつ運用を積み重ねています。
最後に先生が話してくださった、
「フォーサイトを使えば成長する、ではなく、フォーサイトを使って生徒とともに力を伸ばしていくことが大事」
という言葉が、とても印象的でした。
もし現在、
「なかなか定着しない」
「どう運用すればいいかわからない」
と悩まれている先生がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
各学校の状況に合わせながら、一緒に活用方法を考えていければと思います。
